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キヤノン 1D X Mark II vs. Canon 1D C – ビデオ性能を比較する

キヤノン 1D X Mark II vs. Canon 1D C – ビデオ性能を比較する

キヤノン 1D X MarkII はキヤノンの最新フラグシップDSLRで、4K/60p映像の撮影も可能だ。 前回 1D X MarkII のファーストインプレッションを掲載したが、今回は 1D X MarkII と 1D Cを比較しながら、その実力を見てみよう。

意外に思われるかも知れないが、1D X MarkIIはキヤノンから発売される最初の4K収録可能なフォトカメラだ。シネマカメラカテゴリーを分離してから、同社はフォトカメラへの動画機能搭載に後ろ向きだった。しかし、C300 MarkIIに代表されるシネマカメラは価格が高くなり、エントリーレベルのキヤノンユーザーはソニーに乗り換えてしまったのだ。

Canon 1D C vs Canon 1D X mark II

1D X MarkIIと1D C

これら二つのカメラは外見は非常によく似ている。と言うか、基本的にボタン配置は全く同じと言って良い。

では、1D XMarkIIの映像を見てみよう。1D Cをベンチマークにするが、多くのユーザーがいると思われるソニーα7SIIも、もう一つのリファレンスとした。

ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジは、記録できる暗部から明部の広さだが、数値化するのが難しい。今回はDSC labs XYLA-21テストチャートを使って測定している。レンズはツァイスの50mm Cp2マクロを使用した。(テスト方法の詳細はこちら

その結果、1D X MarkII のダイナミックレンジは、だいたい11stopだった。この数値は1D Cとあまり変わりなく、12stop弱の α7SIIともそれほど変わるものではなかった。

Dynamic Range of Canon 1D X mark II vs Canon 1D C

Dynamic Range of Canon 1D X mark II vs Canon 1D C

11stopと言うのはそんなに悪い数値ではない。最近のシネマカメラでは10~13stopが一般的で、例えば C300 MarkII でも12stopだった。C300 MarkII は14stopの ARRI Alexa と比べると2stopほど悪い数値だ。

低照度特性

低照度特性とダイナミックレンジは緊密な関係がある。1D Cのダイナミックレンジはそこそこ良いが、1D X MarkIIと同じISO値でなないことが分かる。上の映像を見ると、1D X MarkII はF11に対して、1D CはF5.6だ。即ち、1D X MarkIIは高ISOでの数値である。

総合して考えると、低照度特性はそれほど変わらないと言える。1D X MarkII はISO6400を超えると、1D C よりもカラーノイズが目立ってくることも付け加えておく。

1dxii-iso

Image is 1 stop underexposed, to see the difference

上の映像は1stopアンダーで撮っている。ISOが異なると、えてして同じ結果になることに注意いただきたい。使用したピクチャープロファイルも影響しているかもしれない。1D CではC-logを使用している。(1D X MarkII はC-logモードが無い) カラーグレーディングを行うため、Technicolor Cinestyleを1D Xに使用している。

低照度下のパフォーマンスは同じようなものだが1D Cでは 1D X MarkII に比べてわずかにエッジが立っている。なお、α7SII は、この2機種よりも良好だ。

画質

1dxii-resolution

チューブチャートで比較してみよう。上に行くほどライン間がどんどん狭くなって、どの点でエリアシングが出るかを見ることができる。即ち、センサーがどこまで正しく解像できるかを見ることができる。まず、1D X MarkII と1D Cはあまり違いが無い。強いて言えば 1D X MarkII が多少優り、α7SII に近い値を示している。

HDの画質は、残念ながら、使えるレベルではない。エリアシングが酷く、解像感もない。一昔前の映像の感じだ。1D Cはそれに比べ、Super35mmの大きさにクロップしているため、かなり良い結果だ。

1D X MarkII は1D Cとあまり変わらないことが分かった。しかし1D X MarkII は4K 50p/60pの撮影ができ、それはビデオカメラではソニーのFS7やブラックマジックの URSA Mini 4Kには装備されているが、他のDSLRが持たないアドバンテージだ。1D X MarkIIの60pモードでは、通常レートと同じ画質が得られる。

ローリングシャッター

1D C はローリングシャッター現象が顕著に表れたが、1D X MarkII では14msと、かなり改善されている。パナソニックの GH4 は最もローリングシャッター現象が少ないモデルだが、これの2倍程度良い。

Spot the difference (1 of 1)

まとめ

もちろん 1D X MarkII は悪いカメラではない。画質は良いし、低照度特性も悪くない。ローリングシャッターも良く抑え込まれているし、オートフォーカスも素晴らしい。何より50p/60pの撮影もできる。普通にお勧めできるモデルと言えよう。

ただし、1D C の後継で、次世代のカメラと期待すると、少しがっかりする。1D C からそのまま持ってきたような感じさえする。しかも、logガンマの選択肢は無くなり、HD画質は明らかに後退している。結局のところ、1D Cからあまり進歩していない。

1D X MarkII は、それなりに高画質のビデオ用カメラで、価格も 1D C より求めやすくなっている。従って、4K 60pや、ローリングシャッター効果の少ないところに魅力を感じるなら、悪くない買い物だろう。フォトグラファーで動画撮影にも興味があるユーザーにもお勧めできる。

ただ、単に高画質な4K映像を撮影したいというなら、そしてHDでの撮影も行うなら、もっと安価なカメラ、例えばソニーの α6300 でも十分対抗できるだろう。

1D X MarkII の実使用レポートはこちら

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