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ジンバルは三脚になりえるか?

ジンバルは三脚になりえるか?

レンタルハウスのオーナーとして、Stewart Addison氏はジンバルの人気が高まっているのを目の当たりにしている。このデバイスは三脚のような、なくてはならない機材になるのだろうか?氏は、これについて寄稿したので、紹介しよう。

gimbals

多くの映画制作者にとって、三脚は無条件に必要なものだ。カメラやレンズ、あるいはコーデックにかかわらず、プロフェッショナルとアマチュアを分ける大きな要素は、フルードヘッドと脚を適切に使用しているかどうかだろう。これが分かっている映画製作者は、三脚無しに撮影に臨むことは無い。しかし、2017年の現在、三脚だけが安定した映像をサポートするものと言う概念は変わりつつある。

三脚の普及により、手持ち撮影のブレた映像が受け入れられなくなったように、より使いやすく安価にもなってきたジンバルは、スムーズなカメラの動きが当たり前になってきた現在では必須の機材となりつつある。今やジンバルは特別なものではなくなっており、良い面も悪い面も含め、無視できない状況にある。

ステディカムからジンバルへ

今日私たちが使っているブラシレス3軸ジンバルは、ステディカムの自然な進化だ。ステディカムも映画制作では比較的新しいものだ。米国のギャレット・ブラウン氏は1970年代初めにステディカムの構想を思いついたが、その構想が完全に実現するまで10年の時を要した。ステディカムは『Bound for Glory』、『Rocky』あるいは『The Shining』といった映画でその地位を固め、三脚、レール、あるいはクレーンといった縛りからカメラを解放したと言える。最も重要なことは、ステディカムにより映画制作者が新しいカメラショットを考え始めたことだ。

Ronin 2

電動ジンバルの話に移る前に、少し話を戻そう。ジンバルの概念は全く新しいものではない。実際、それは1000年以上も前から存在するのだ。 紀元前のギリシア人は陶器を作るためにそれを考え出し、中国では香を燃やすため同様のデザインを考え出していた。それ以来、初期のナビゲーションシステムからロケットエンジンまで、ジンバルは長い歴史を通じて使用されてきた。このような話は映画製作にあまり役に立たないだろうが、考えるのは面白いことだ。

Nino Leitner operating the MoVI M10

2013年はジンバルの世界が一気に進んだ年だ。MoVi M5とM10は、ブラシレス電動ジンバルを実現し、これを発表した。ユーザーにとっては、ステディカムのようなショットを安価に実現できるだけでなく、専門知識をほとんど必要としなかった。MoViに続き、他のメーカーも、MoViを参考にしたさらに安価なジンバルを提供し始めた。注目すべきは、DJIがRoninシリーズをリリースしたことだ。これはジンバルのもう一つのメジャープロダクトになっていく。

そしてこの潮流は、振動を補正するためにジンバル技術を使用するドローンの登場によって加速されていく。 MoVi発表から2年を待たずして、DJIはOsmoを発表。これによりジンバルは高価な特別なものではなくなった。ジンバルショットは、低予算のプロジェクトでも利用できるようになり、独特の浮遊感のある映像はいたるところで目にするようになった。CMからYouTubeまで、映像制作におけるジンバルの普及は、スムーズなカメラの動きでプレミアム感を与えたと言ってよいだろう。今や手振れのある映像は、それだけで見ようという気を失わせてしまう。

DJI Osmo

レンタルハウスのオーナーとして、私はジンバルの急速な普及を目の当たりにした。わずか数年でここまで一般的になったのは驚くべきことだ。しかし、知っておくべきこともある。ジンバルはステディカムより操作が簡単だが、MoViやRoninのバランスを取るには多少の時間と経験が必要となる。私のところでも、何度か顧客からジンバルが正常に機能しないというクレームを受け、欠陥品だと言って返却された。ジンバルとはそのようなものだという認識も必要だ

ジンバルは普及したが、いまだにそのような実態があることも事実だ。

今、何をすべきか?

ジンバルショットは今やあたりまえだし、これを使わない手はないだろう。クライアントは、スムースな動きがもたらす影響に気が付いている。これはカラーサイエンスのように微妙なものではない。スムースなジンバルショットは、ソーシャルメディアでも目に留まるだろう。今日のビデオ業界では、ジンバルショットはお金を生むと言っても良いだろう。ジンバルは、限られた予算で最大の価値をもたらすより安価な方法なのだ。メリットは数えきれない。

ジンバルが新しい三脚だと言っても、三脚に取って代わるものではない。しかし三脚のように、ジンバルは映像制作者にとって必須の機材となるだろうし、使い慣れるにしたがって、どのように使ったらよいのかも知られてくることだろう。また、ジンバル自体も、進化していくにしたがって、ステディカムのように面倒な調整も必要なくなるだろう。

結局、最も重要なのは、ジンバルと三脚の両方が、広い価格帯で提供されることだ。基本的な使い方を学ぶために200ドルの三脚で始め、完璧なショットを撮るために12,000ドルの三脚を使う映画監督のように、今日のOsmoでジンバルを学んだ映像製作者は、数年先にはMoViを使っているだろう。

Zhiyun Crane – a popular one-handed gimbal

また、三脚もそうだが、とにかく使えばよいというものではない。そこここらにジンバルショットが使われており、中には無理に使っているようなものも見受けられる。ジンバルショットのためのジンバルショットはばかげている。キヤノン5D MKIIが世に出たときに、皆が浅い被写界深度で撮りだした状況に似ている。ジンバルを効果的に使うようにするには、ひとつのことだけにこだわるべきではない。ジンバルショットが必要なときとそうでないときを認識していれば、ジンバルは効果的なツールとなるだろう。

すべての撮影にジンバルは必要と言うことではない。しかし、三脚もそうだが、必要と思われない時でも、恐らく持っていくのではないだろうか。ソーシャルメディアで目を引く映像や、印象的なショットで見るものを引き付けようとしている映像制作者にとって、あるいはスコセッシ監督の映画『グッドフェローズ』での悪名高いコパカバーナでのステディカムショットを真似したい映画制作者にとっては、ジンバルは無くてはならないものだが、使い方も良く勉強すべきだろう。

是非、三脚の隣に置いていただきたい。

反対意見

一方、ジンバルショットが形にはまってしまっているという事実も知っておく必要があるだろう。

確かにジンバルは、映像制作者が長年憧れていたショットを手頃な価格で実現することができる。しかし、これらのショットは、三脚やスライダーを使ったショットほど安定感があるわけではない。ジンバルで撮影した映像の滑らかさは、見るとすぐに分かる。ジンバルショットはほとんどの場合、常にカメラが浮いているように見え、広角レンズを使って被写界深度を深くし、ユニークなアングルを狙って低い位置や高い位置から撮っている。言い換えれば、ジンバルショットだとすぐにバレてしまう。このように、ショットがマンネリ化し、洗練されたものでない場合、または新しいショットの試行錯誤が無い場合、ジンバ​​ルショットは70年代のズームと同じ運命をたどるだろう。そうなれば、ジンバルショットの価値は薄れ、いずれブームで終わってしまうことになる。

MōVI Pro

しかし、恐らくそうはならないだろう。映像制作者たちはジンバルをうまく使うようになり、将来も使い続けられることだろう。 ステディカムは発売から3年後の1983年にピークを迎えなかったし、同様に今がジンバルのピークだとも思わない。それどころか、技術はまだ発展しており、Ronin 2やMōVIProのようなゲームチェンジャーが技術的な制限を次々に解決しているのだ。

フジヤエービックのショップサイト

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